財政破綻を避けるために今から必要なこと〜令和8年度予算総括質問より〜

議案第40号 令和8年度米子市一般会計予算について
令和8年度当初予算は 884億6,000万円 と過去最大規模となりました。 今回は、市が示した「令和8年度予算の概要」と、昨年の決算総括質問での答弁内容を踏まえ、 米子市の財政運営は今どこに課題があり、どこに向かおうとしているのか を確認しました。
目次
1|予算編成の基本的な考え方
市は、賃金上昇などを背景に「税収は当面堅調」と見込んでいます。 しかし、少子高齢化・人口減少が進む中で、この見通しはやや楽観的ではないかと考え、根拠を確認しました。
■ 税収が堅調と判断した理由(市の答弁)
- 令和6年度決算では、定額減税の影響を除くと 個人市民税が約2.6億円増
- 国の方針として「賃上げこそ成長戦略の要」が掲げられている
- こうした状況から、人口減少を踏まえても「当面は税収は堅調」と判断
■ 一方で、市が抱えるコスト増の課題
物価高騰、社会保障費、防災・減災、老朽化施設の更新など、将来の財政を圧迫する要因は多岐にわたります。 しかし、市は それぞれの増加額を集計していない と答弁しました。
2|財政調整基金の残高が見込みより減少している問題
昨年9月に示された「中期財政見通し」と、今回の予算概要を比較すると、 すでに大きな乖離が生じている ことが分かりました。

市の説明は次の通りです。
■ 乖離の主な理由
- 中期財政見通しは「財政計画」ではなく、あくまでシミュレーション
- 令和8年度予算では 5億円の基金取り崩し を見込んでいるが、見通しでは織り込んでいない
- 令和7年度決算剰余金の積み立てにより、実際の残高は上振れする可能性もある
3|財政課題は令和8年度予算にどう反映されたか
(1)自主財源の確保
昨年の答弁では「自主財源の確保に注力する」とされましたが、今回の予算では次のように説明されました。
■ 市の答弁
- 教育・子育て施策などを進め、人口減少下でも地域の活力を維持
- 企業誘致やふるさと納税の強化で税源涵養を図る
■ 私からの指摘:電力の地産地消は米子の強み
環境省のデータによれば、市外への電気代流出は 2018年度:183億円 → 2022年度:114億円(▲69億円) この差額は、市内にお金が残った可能性を示しています。
さらに、令和6年度決算では 電気・ガス・熱供給部門の法人市民税が111.8%増 これは単なる電気代高騰では説明できず、 地域電力会社の存在と地産地消の進展が税収増に寄与している可能性 があります。
👉 米子市の独自性を活かした税源涵養策として、 地域脱炭素・地産地消を主力産業として位置付けるべきと提案しました。
(2)将来負担の軽減
実質公債費比率は 9.3% → 9.9% と上昇見込み。 金利上昇局面での財政運営は一層厳しくなっています。
■ 市の説明
- 公債費の中期見通しとの差は約1億円
- 主因は金利上昇と、中学校組合解散に伴う債務承継
- 起債償還利子の見込みは
- 見通し時:1.6%
- 当初予算:2.5%
金利上昇の影響が明確に表れています。
(3)市民1人あたりの公債費が高い問題
令和6年度決算では 市民1人あたり公債費:2万532円(類似団体の約2倍)
市の説明は次の通りです。
■ 高い理由
- クリーンセンター長寿命化
- 小中学校空調整備
- 駅南北自由通路など大型事業の償還が本格化
- 今後もアリーナ整備、義務教育学校整備などが控える
つまり、大型投資の連続が財政を圧迫している 状況です。
■ 私の指摘
「有利な起債を使うから大丈夫」という説明が繰り返されますが、 金利上昇局面では利子負担が増え、 借金そのものを抑制することが不可欠 です。
さらに、 借りる額(市債)が返す額(公債費)を上回る状況 が続いており、財政の持続性に懸念があります。
4|財政破綻を避けるために今から必要なこと
(1)投資の「必要性」と「規模」をどう判断するか
市は「第2次まちづくりビジョン」に基づき判断すると答弁しましたが、 私は次の点を強調しました。
- 投資的事業には「やらざるを得ない更新」と「プラスアルファの賑わい創出」が混在
- 今後のインフラ更新を考えると、プラスアルファを続ける余裕は限られる
- 施設の集約・複合化による スマートシュリンク の導入が不可欠
市も、アリーナ整備や保育園の小学校敷地内建替えなど、 一定の集約化を進めていると答弁しました。
(2)住民合意をどう形成するか
市は「一律の手法は定めず、個別に判断」と答弁しましたが、 私は次の点を提案しました。
- 施設利用者だけでなく、納税者として支える市民も議論に参加できる
- 無作為抽出による市民参加(自分ごと化会議)の活用
- 正しい情報を前提に、多様な立場の市民が対話する場の必要性
(3)財政情報の積極的な公開
市は「誤解や数値の独り歩きを避けるため、中期見通しは公表しない」と説明しました。 しかし、私は次の点を強調しました。
- 情報が不足すると、かえって誤解が生まれる
- 市民の自覚を促すためにも、丁寧な説明と積極的な公開が必要
5|市長の見解と、私の考え
市長は次のように述べました。
- 米子市は周辺自治体より多くの公共施設整備を担ってきた
- 類似団体と単純比較できない
- 将来負担比率が100%を超えなければ問題ない
- 交付税措置があるため、借金の負担は軽減される
これに対し私は、 「国のお金も市のお金も、最終的には住民が負担する」 という原則を忘れてはならないと述べました。
有利な起債や補助金が潤沢にある状況は、 自治体の自立をむしろ妨げる側面があります。 市民が財政を「自分ごと」として考えられるよう、 情報提供の強化と対話の場づくり を求めました。
✨まとめ
今回の質問で浮かび上がったのは、 米子市の財政は「大型投資の連続」と「金利上昇」により、確実に圧力が高まっている という現実です。
市の発展に必要な投資は否定しません。 しかし、
- 何を優先するのか
- どの規模で行うのか
- 将来世代にどれだけ負担を残すのか
これらを、市民とともに丁寧に考える姿勢が欠かせません。

