あなたの腎臓はお元気ですか?

今回の米子市議会・代表質問では、「慢性腎臓病(CKD)」対策を大きなテーマとして掲げました。 腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状がないまま進行してしまうのが最大の特徴です。市民の皆さんの健康と生活の質(QOL)を守るため、今何が必要なのか。質疑の内容をご報告します。

1. 「重症化予防」の現状と見えてきた壁

現在、米子市では糖尿病性腎症の重症化予防や、特定健診の結果からリスクがある方への講演会などを行っています。しかし、大きな課題が浮き彫りになりました。

  • 受診勧奨への抵抗感: 「主治医に何も言われていないのに、なぜ市から言われるのか」というお叱りを受けることもあるそうです。
  • 「自分は大丈夫」という意識: 自覚症状がないため、医療の話を「敷居が高い」と感じ、対策行動に繋がりにくい現状があります。

2. 薬剤師の視点から提案する「そらまめ腎臓シール」の活用

私は薬剤師として、日々患者さんと接する中で「情報の共有」の重要性を痛感しています。 腎臓の機能(eGFR値など)に合わせてお薬の量を調整することは、安全な薬物療法に欠かせません。しかし、お薬を出す現場で薬剤師が患者さんの正確な腎機能を把握できているケースは、まだ多くありません。

そこで提案したのが、「そらまめ腎臓シール」の普及です。現在は特定健診の結果から腎機能の値が低くなってきている人に腎臓病の講演会の案内をし、そこに参加された方のみにお配りしています。それ以外に薬剤師が腎機能の値を把握した場合に値を記入してお薬手帳に貼るようにすると、腎臓の健康に関心を寄せてもらえるのではないかと考えています。そらまめ腎臓シールの普及に薬剤師と連携することについて市の見解を問いました。

  • メリット: お薬手帳にこのシールを貼ることで、患者さんも薬剤師も腎機能に関心を持つことができます。
  • 今後の展開: 市からは「薬剤師会との連携をさらに模索したい」との前向きな答弁を得ました。数値が独り歩きしないよう、専門家による丁寧な説明をセットにした運用を目指します。

3. 米子市における治療の選択肢と「情報の空白」

もし慢性腎不全へと進行してしまった場合、治療法には「血液透析」「腹膜透析」「腎移植」という選択肢があります。

実は米子市には、海外で研鑽を積み、100例以上の腎移植を執刀された専門医がいらっしゃいます。県外からも患者が訪れるほど、米子市は治療の選択肢が整った街なのです。

しかし、残念ながら患者さん本人にはその情報が十分に届いていないという実態があります。 市は「治療の判断は医療機関に委ねる」という原則を保ちつつも、市民が適切な時期に、自分に合った医療を選択できるよう、周知のあり方を工夫していく必要があります。

4. 未来へ向けて:データ活用と生活の質の維持

今回の質問を通じて、腎移植者数の正確な把握など、まだデータヘルスの基盤が不十分であることも見えてきました。

医療費の適正化はもちろんですが、何より大切なのは市民がいかに自分らしく生活し続けられるかです。今後もDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、データを活用したきめ細かな保健行政を求めてまいります。

市議になって1期目の任期最後の一般質問となりました。本会議でも委員会でも行政の中の医療に関することに取り組むには、保健師さんの協力が欠かせませんでした。質問の終わりに丁寧な対応をしてくださったことに感謝を述べました。

質問にあたっては、腎移植や透析を経験した患者さん、移植をした医師、腎臓内科の医師、一般内科の医師、慢性腎臓病に詳しい薬剤師など様々な方にお話を伺いました。薬剤師としても議員としても大変勉強になりました。

私の政治テーマである病気になっても安心して暮らせるまちの要素として、病気になった時に治療を受ける選択肢と治療を受けない選択肢の両方があることが大切と考えています。母は、大腸がんの治療を受けないことを選択しましたが、幸い緩和ケアを受けて苦しまずに最期を迎えることができました。本人にとっても家族にとっても最善の選択だったと思い返しています。

米子市が病気になっても安心して暮らせるまちになるよう科学の目線で市政をチェックしていきます!