米子市民球場ナイター照明の落雷故障 ― 想定は十分だったか?※質問動画を追加しました

米子市民球場のナイター照明は令和7年6月にLED化などのリニューアルを終えましたが、その年の12月に落雷により故障し使用できない状態となっています。米子市側は「想定外の大きさの雷が落ちたため」と説明していますが、そもそもどのような想定をしていたのかについて公文書公開などで調査してきました。
7月定例会に修繕費用の予算が計上されていますので、今日の予算決算委員会で、技術基準の整合性、設計段階の検討体制、そして今後の発注方法のあり方を中心に質疑しました。
1. 今回の故障の概要
落雷により、照明塔の配線を通じて過大な電流が流入。
LED照明本体は無事だったものの、
- 照明塔の分電盤
- 遠隔操作用の制御盤
- 避雷器(SPD)
が故障し、ナイター照明が使用不能となりました。
修繕費は 3,915万円。
照明塔2塔の避雷器(SPD)が落雷により壊れましたが、
今回の修繕では、6塔分の避雷器を全てグレードアップし交換することになっています。
LED化工事(3億1680万円)と合わせると、総額は 約3億5600万円になります。
2. 当局の説明と技術基準のズレ
当局は「国の建築設備設計基準に基づき、SPDはクラスⅡを採用した」と説明しました。
しかし、国の基準には明確にこう書かれています:
直撃雷の可能性がある導電性構造物にはクラスⅠを使用する
照明塔は屋外に単独で立つ金属構造物であり、
直撃雷の可能性が高い典型的な設備です。
つまり、本来は クラスⅠが必要だった可能性が高いにもかかわらず、
設計段階ではクラスⅡのみが採用されていました。
その結果、LED本体は守られたものの、
周辺の制御盤・分電盤が壊れるという事態が発生しました。
LED照明そのものは手動で点灯が可能でも、
屋内施設の中にある操作する部分が壊れてしまっては使用することはできません。
3. LED照明の「脆弱性」の捉え方
当局は「LED本体が守られたので設計は妥当」と説明しましたが、
LED照明の脆弱性は 照明器具単体ではなく、照明システム全体に及びます。
今回壊れたのはまさにその「周辺電子機器」であり、
LED化に伴うリスク増加を十分に考慮した設計だったとは言えません。
4. 計画段階の議論が存在しない問題
公開文書を確認したところ、
LED化に伴う雷対策についての議論記録が存在しませんでした。
- 屋外スポーツ施設のLED化経験を持つ事業者の知見
- 雷保護の専門的な検討
- LPZ(雷保護ゾーン)に基づく設計
こうした要素が設計段階で十分に取り入れられていなかった可能性があります。
5. 発注方法の見直しは必要ではないか
私は、計画段階で屋外スポーツ施設にLED照明を設置した経験のある事業者のノウハウを取り入れるなど、
「想定外」を減らす発注方法への改善を求めました。
しかし当局は、
設計は適正であり、発注方法の見直しは考えていない
との答弁でした。
6. 今後の課題
今回の件は、単なる照明塔の修繕ではなく、
米子市の公共インフラにおける技術的リスク管理のあり方を問う事案です。
- LED化に伴うリスク増加をどう評価するか
- 国の基準の読み取りをどう正確に行うか
- 専門性をどう設計段階に取り入れるか
- 想定外を減らす発注方法をどう構築するか
これらを丁寧に積み重ねていくことが、
市民の安全と税金の公平性を守ることにつながると考えています。


